大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉地方裁判所 平成3年(わ)1507号 判決

本店所在地

千葉県市川市二俣二丁目三番二四号

株式会社

吉豊興業

(右代表者代表取締役 石井豊壽郎)

本籍

千葉県市川市二俣二丁目六五番地

住居

千葉県市川市二俣二丁目三番二四号

会社役員兼農業

石井豊壽郎

昭和一四年三月二八日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官川口克巳出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社吉豊興業を罰金一、七〇〇万円に、被告人石井豊壽郎を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人石井豊壽郎に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社吉豊興業は、千葉県市川市二俣二丁目三番二四号に本店を置き、産業廃棄物処理業を営むものであり、被告人石井豊壽郎は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人石井は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六二年一〇月一日から昭和六三年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得額が七、五一六万五、三三五円であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、千葉県市川市北方一丁目一一番一〇号所在の所轄市川税務署において、同税務署長に対し、その所得額が四、〇〇五万四、六〇一円でこれに対する法人税額が一、五六七万一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額三、〇四一万二、四〇〇円と右申告税額との差額一、四七四万一、〇〇〇円を免れ、

第二  昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度における被告人会社の実際所得額が二億〇、五〇一万〇、四六二円であったのにかかわらず、同年一一月三〇日、右市川税務署において、同税務署長に対し、その所得額が六、四八八万五、九〇〇円でこれに対する法人税額が二、五七五万一、六〇〇円である旨虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告人会社の右事業年度における正規の法人税額八、四五九万四、〇〇〇円と右申告税額との差額五、八八四万二、四〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一  被告人石井豊壽郎の当公判廷における供述

一  被告人石井豊壽郎の検察官に対する供述調書三通

一  被告人会社代表取締役石井豊壽郎作成の申述書

一  織戸久良の検察官に対する供述調書

一  村田操、和田次男、河本進及び高橋皖の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料、外注費調査書、保険料調査書、受取利息調査書、損金算入道府県民税利子割調査書、減価償却超過額調査書、事業税認定損調査書

一  千葉地方法務局市川支局登記官作成の商業登記簿謄本及び昭和六三年一二月七日閉鎖した商業登記簿の役員欄の用紙の謄本

判示第一の事実について

一  検察事務官作成の被告人会社の昭和六二年一〇月一日から昭和六三年九月三〇日までの事業年度分の確定申告書の写しを添付した捜査報告書

一  大蔵事務官作成の被告人会社の昭和六二年一〇月一日から昭和六三年九月三〇日までの事業年度分の脱税額計算書

判示第二の事実について

一  検察事務官作成の被告人会社の昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度分の確定申告書の写しを添付した捜査報告書

一  大蔵事務官作成の被告人会社の昭和六三年一〇月一日から平成元年九月三〇日までの事業年度分の脱税額計算書

(法令の適用)

被告人石井及び被告人会社の判示各所為は、各事業年度ごとに法人税法一五九条一項(被告人会社については、更に同法一六四条一項)に該当するが、被告人会社については情状により同法一五九条二項を適用し、被告人石井については所定刑中懲役刑を選択することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人会社については同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一、七〇〇万円に、被告人石井については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に各処し、被告人石井に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 吉田徹)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例